脱毛症における鍼灸治療

  • 毛髪が抜ける、数が少なくなる、短くかつ細くなる現象を脱毛症と呼んでいます。症状によっては毛髪のみならず、眉毛や体毛などが脱落する場合もあります。

    細胞の老化と共に、太く長い毛が細く短い毛に置き換わる状態も脱毛症と呼びます(壮年性脱毛症)。
    また分娩後の一時的な脱毛症や、抗がん剤などの薬剤の副作用による脱毛症もあります。

    鍼灸治療は、遺伝的要素、薬物副作用、全身疾患などの原因によるもの以外を対象としています。
    多くは原因不明の場合が多く、環境の変化や精神的ストレスによって発症すると考えられています。

    しかし、ほとんどの患者さんは、ストレスを受けている実感がないようです。
    ストレスに対して敏感であれば、普段からストレス解消方法を取り入れます(友人と喋る、カラオケに行く等)。しかし、ストレスを感じにくい方は知らず知らずのうちに体に無理をかけてしまうようです。

    また、脱毛症には脱毛範囲が鮮明のもの、不鮮明のもの、数か所の脱毛部が結合したもの、脱毛部が頭部全体に及んでいるものなど形も様々です。

    ほとんどは6カ月程で自然治癒すると言われていますが、再発を繰り返す場合もあります。

    鍼灸治療は、限局して頭皮の血液循環を良くしていき、新陳代謝を高めます。また、自律神経の調節をすることにより再発防止をしていきます。

    脱毛の進行具合や症状の様子により予後は様々ですが、きちんとした毛根を確認し、抜けないと判定した時を治療終了としています。2週3回の治療を必要とします。

    治療間隔は大事になっていきますので、患者さんには治療間隔を開け過ぎにご注意いただきたいと思います。

症例報告
20歳女性・学生
半年前に円形脱毛3か所を発見。処方された薬で対処するが、産毛が生えてきたと思ったら脱毛が進行するなど状況が安定せず、脱毛部も広がりつつある状況で来院。
来院当初はウィッグを装着して外出。学校は休学している状態。
自律神経の調整をしながら、脱毛局所の鍼灸治療をしていく。治療間隔は4~5日とする。
本人の許可を得て、治療5回毎に写真を撮りデータを取らせていただく。



脱毛症は再発するケースも多いが、その都度早めの処置をしていくことが大事である。
本症例では、治療間隔の徹底が特に速やかな改善につながったと考える。

脱毛部への鍼治療